フォレスタン目録-映画・本・漫画のおすすめ作品紹介ブログ-

映画・本・漫画などのおすすめ作品を紹介するブログです。原則としておすすめ品しか書きません。好みである歴史系に偏ると思います。

知れば知るほど面白い 朝鮮国王 宿命の系譜

 

 初級者向けの歴史本です。

 

朝鮮王朝時代の韓国時代劇が好きな人の予備知識としてお勧めです。

 

 朝鮮王朝は1392年から1910年まで続いた朝鮮の王国です。日本でいうなら室町時代から戦国・江戸を通して明治時代までにあたります。当然、韓国国内では数多くの時代劇が制作されていますが、前提となる予備知識がないと理解しづらいかもしれません。

 この本は、朝鮮王朝の建国から数々の権力争いを経て、日本の朝鮮進出の直前までを書いています。薄い文庫本のため、朝鮮王朝500年の歴史を丸々扱っているわけではありません。ドラマで扱っている歴史を主に、断片的に書いています。

 

  表紙にも描かれている通り、韓国時代劇を楽しみたい人向けに書いています。そのため、文章も平易で気楽に読むことができます。ドラマに興味がなくても、朝鮮王朝の歴史をさらりとでいいから知りたい人、知っておきたい人にもお勧めできると思います。ただし、権力争いの激しかった朝鮮王朝を書いているだけに、ほとんどクーデターや暗殺といった話ばかりです。

 この本で特に評価できるところは、国名を朝鮮に決めた過程について正直に描かれているところです。朝鮮王朝の建国者である李成桂は、国名を「朝鮮」と「和寧」の二つに絞りました。そして最後に中国の皇帝にどちらにするか決めてもらいました。ところが、たまに本屋で韓国の歴史の本を手に取ると、まるで朝鮮自身が決めたように書いています。実のところ、この逸話を正確に書いているかで、信用できるかどうかを判断基準にしています。

 もう一つ評価できるところは、朝鮮王朝ではハングルを軽蔑されていて、漢文が公用語だったときちんと書いてあるという点です。意外なことですが、どうやら朝鮮王朝時代はハングルを「教養のない人のための文字」とされていました。これも韓国の作家が書いた本には、あまり書かれていないこと(書きたくないこと?)なので、正直に書いていることに信頼が持てます。