ジョーカー・ゲーム
中級者向けの短編小説です。
スパイや謀略が好きな人向けです。
戦前の日本を舞台にしたスパイ小説です。5話の短編で構成されていて、日中戦争ごろの日本や中国でのスパイ活動を扱っています。1話はスパイの養成や他の軍の機関との軋轢について、2話以降はスパイ活動や他国のスパイの摘発についての物語です。
私はアクション系よりもどちらかというと頭脳系が好きな方だと思っています。スパイや謀略系は特に好きなテーマで、どうすれば相手を出し抜くかというところに気になります。また、その方法を知ることでよく考えたものだと感嘆することが良いと思っています。
この小説はその典型的なものだと思っておりまして、防諜活動から、スパイ活動、犯罪捜査、スパイ罪として摘発された時の敵への出しぬき方法をそれぞれ短編で構成されています。
しかし、短編なため分量が少ないことに不満を感じています。もっとも、見方を変えるとだらだらと続くよりはコンパクトにまとめてあって、冒頭のところが頭に残っているうちに終わる方がいいかもしれません。人それぞれの好みによると思います。
ただし、本当に残念なところもあります。前に陸軍中野学校の映画を取り上げましたが、これを元にした話が出てきます。盗用になるのではと思うぐらい同じことを書いていました。一度観た話とは別の話を読みたかったので、それが大きな欠点です。古い映画なので、観たことのない人が多いでしょうから、ほとんどの人にとっては気にするような欠点ではないでしょう。