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フォレスタン目録-映画・本・漫画のおすすめ作品紹介ブログ-

映画・本・漫画などのおすすめ作品を紹介するブログです。原則としておすすめ品しか書きません。好みである歴史系に偏ると思います。

「朝日」ともあろうものが。

 

「朝日」ともあろうものが。 (河出文庫)

「朝日」ともあろうものが。 (河出文庫)

 

 初心者〜中級者向けの暴露本です。

 

組織の腐敗と内実と知りたい人にオススメです。

 

第1章 僕はなぜこの仕事を選んだのか

第2章 みじめでまぬけな新米記者

第3章 パワハラ支局長

第4章 不偏不党なんてとっくに死んでいる

第5章 記者クラブには不思議がいっぱい

第6章 夕刊は不要どころか有害

第7章 朝日の人材開発は不毛の荒野だった

第8章 ぼくが初めてハイヤーに乗った日

第9章 捏造記事はこんなふうに作られる

第10章 上祐へのインタビュー原稿がオウムに渡っていた

第11章 「前例のない」の一言でボツ

第12章 かつて愛した恋人、アエラ

第13章 さようなら。お世話になりました。

 

 17年間、朝日新聞で記者をしていた人が書いた暴露本です。朝日新聞というと、左翼思想に沿った偏向報道などと批判されることが多いです。しかし、この本では思想的なことについてはほとんど触れていません。そのごくわずかに触れていることでも、下っ端の平社員のだからわからないと書いているだけで、むしろ左翼などという批判には懐疑的です。

 では何を暴露しているのかというと、朝日新聞の内部に広がる腐敗や読者の都合を無視した組織第一主義です。夕刊を廃止すれば、1日ごとに区切りよくニュースを報道できて、読者にわかりやすい。それがなぜできないかというと、広告費が減少するから。また、良い記事を書くためでなく、今までの慣例やご褒美で人事が決まる。外国に赴任する記者で、英語を話せないのは普通なのだそうだ。なぜ記事が書けるかというと、現地のバイリンガルのアシスタントがつくからで、インタビューから執筆まで何もかもしてくれるという。その手柄を横取りして新聞に載る。他にも、人事の基本は成果が平等になるようにするという。なぜそうなったかは書いていなかったと思う。だが、誰かが抜きん出た手柄を立てないようにすることが仕事だと思っている管理職がほとんどだという。つまりその分出来の低い記事が読者に送られる。書いていたらきりがないけど、まあ一事が万事この調子だ。他にも交通費の横領や、役所からの贈り物(文房具から飛行機旅行まで)が当たり前だとか。

 

 

 権威ある組織というのは何かと優秀なものだなと思っている人が多い。しかし、数年前は警察が、数十年前は官僚が、100年前は軍隊(旧日本軍)が立派な組織なのだと思われてきた。だが、現実はどうだったかはよく知っていると思う。それらと同様に、朝日新聞も立派どころか救いようのないほど腐敗していると暴露してくれている。

 組織を一人の個人のように思っている人が多い。そして、その組織に働く人もそれぞれ職業意識が高い優れた人と思っている。そう思われていることこそが権威ということか。だが内実を知ると所詮同じ人間ということがわかる。

 この本を読むと、朝日新聞に限らず、権威ある組織を冷めた目で見ることの教訓になる。権威に盲従することがないという点で大いに助かると思う。

 新聞についてはとやかく言うつもりはない。実のところ、ニュースはほとんどインターネットで読んでいて、新聞はほとんど読んだことがない。ただ、恐ろしくつまらない読み物ということは覚えている。この本を読んで納得した。