五胡十六国―中国史上の民族大移動
中〜上級者向けの本です。
中国史が好きな人向けの歴史本です。
分量としてはそんなに多くありませんが、中国史が好きでないと面白くないことは間違いありません。
序章 民族の時代
第2章 「五胡」とは何か、「十六国」とは何か
第3章 「十六国」の興亡
第4章 「十六国」の国際関係と仏教と国家意識
第5章 人の移動
第6章 「五胡」と漢族の融合
三国志は最後に「西晋」によって統一されました。しかし、その「西晋」も50年も持たずに、北方の異民族によって崩壊します。その後は、5つの異民族(五胡)が16もの国を作る「五胡十六国時代」に突入します。この本では、五胡と当時の中国社会、十六国それぞれの短い略史を記述しています。
「五胡十六国時代」が終わると中国が統一されるわけではなく、中国の北側と南側にそれぞれ勢力が固定化する「南北朝時代」に入ります。本書ではこの「南北朝時代」の直前までです。
日本では中国史といえば三国志といっても過言ではないでしょう。しかし、毎度毎度三国志ばかりが話題になるので、よくも飽きないものだと思います(私は飽きました)。私の場合は三国志の漫画を読んだ後、その前や後の時代はどうなったのかが気になりまして、中国史を全般的に学びました。五胡十六国時代はもっとも中国の歴史の中で最も複雑な時代です。中国史好きの私でも、ごちゃごちゃしていてわからなくなることが度々あります。この本では十六国ごとの興亡を分けて書いているので、多少なりともわかりやすくなっています。
また、国の興亡だけでなく、当時の中国社会における難民や自警団、他国との外交関係、民族意識など、その時代の背景となるところまで書いているので、当時の社会情勢が掴みやすいです。