夏への扉
- 作者: ロバート・A.ハインライン,Robert A. Heinlein,福島正実
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/01/30
- メディア: 文庫
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中級者向けのSF小説です。
タイムトラベルが好きな人向けです。
発明家のダンは家事用ロボット「文化女中器」を発明し、営業を担当することになる親友のマイルズとともに会社を設立し、順調に会社を発展させていった。ところが、事務員として雇ったベルという女性と婚約して、いくばくかの株を譲渡すると、運命が暗転する。ベルはマイルズを手を組んでダンを裏切り、会社を乗っ取ってしまったのだ。
会社から追い出されたダンは、愛猫のピートを連れてマイルズとベルに抗議するためにマイルズの自宅へ行く。ところが、2人はピートを叩き出した挙句に、作中では実用化されている人工冬眠にダンを無理やりかけてしまう。30年後、人工冬眠から目覚めたダンは復讐のためにベルとマイルズを探し出すが、ベルはすっかり落ちぶれており、マイルズはとうの昔に亡くなっていた。しかも、人工冬眠する前に考えていた新型の家事用ロボットが自分の名前で実用化されていることを知る。
近未来小説となっていますが、発刊されたのが1956年と60年も前なので、とっくに近未来ではなくなっています。それはともかくとして、発刊された年代からしても、今後に出てくるタイムトラベルものの基礎となった作品かもしれないと思うほど、王道的な展開になっています。「ドラえもん」もこれを元にした話が出て来ました。ネタバレになるので、あまり詳しいことを言いませんが。
それ以外にも、この作品と似ているなと思うことがいくつか思い浮かぶと思います。タイムトラベルの原点を読むと考えると、この後の展開をと読んでみたくなると思います。
ただし、少なくとも猫のピートが必要だったのかと思っています。別にこの猫を登場させなくても良かったのではないかという感想を持ちました。まあ必須ではなくても、ダンのピートへの愛情が、読者の作品への没入感が増す要素にはなっているかもしれません。