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フォレスタン目録-映画・本・漫画のおすすめ作品紹介ブログ-

映画・本・漫画などのおすすめ作品を紹介するブログです。原則としておすすめ品しか書きません。好みである歴史系に偏ると思います。

「本当のこと」を伝えない日本の新聞

 

「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)

「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)

 

初級者向けの告発本です。

 

報道の自由について興味のある人向けです。

 

第1章 青い目の3・11取材記

第2章 情報寡占組織・記者クラブ

第3章 かくもおかしい新聞

第4章 ジャーナリストがいない国

第5章 日本の新聞 生き残りの道

 

 日本に留学経験のあるニューヨークタイムズ東京支局長が書いた本です。タイトルの通り、日本のマスメディアを批判しています。描かれた時期は少し古く、東日本大震災の数ヶ月後の出来事を主なテーマにしています。

 書かれていることは、アメリカと日本のジャーナリズムの違い、というより日本のマスメディアがジャーナリストとしての機能を果たしていない、と批判しています。欧米のジャーナリズムは、政府や企業が不祥事を隠蔽していないかをチェックして記事にしています。日本のマスメディアの場合は、政府(政治家や警察官僚)や企業(経営者)と仲良くなって、情報を頂いて記事にしているとのことです。また、アメリカでは記事にしなければ知らないままだったという情報を特ダネと呼びますが、日本ではいずれ公開される情報でも、ほんの1日でも早く出した情報を特ダネ扱いされていることも批判しています。

 特に「記者クラブ」について批判しています。「記者クラブ」とは大手新聞とテレビ局が合同で組織しているマスメディア団体です。首相官邸や官庁から地方の役場に至るまで記者クラブが存在しています。大手マスコミに所属している記者たちは、会社から記者クラブへ出向して拠点を構えています。政府の会見や発表などはすべて記者クラブを通して行われ、そうして得た情報を本社に送ることで記事やニュースになります。もともとは明治時代に、情報を隠蔽しようとする当時の帝国政府に対して、記者たちが一致団結して情報公開を求めた組織が起源です。しかし現在では、大手マスコミ以外のマスコミ、雑誌やフリージャーナリスト・外国のマスコミを記者クラブに加入させないようにしており、そのため会見ではそれらのジャーナリストが質疑応答できないと批判しています。

 3・11以外にも、小沢一朗の「政治とカネ」、オリンパス事件を短いながらも扱っています。

 

 

 3・11の東日本大震災の時、情報が開示が遅かったりして不満に思った方もいると思います。ではなぜそのような不手際が起きたのかを説明してくれています。私も「裏ではこのようなことがあったんだな」と妙に感心すると同時にマスコミが信用できなくなりました(もともとあまり信用していませんが)。

 何より怖いと思ったのが、日本のマスコミが政府や警察の発表のただ流すだけの広報に過ぎないということです。とある北海道の新聞記者が警察の不祥事を告発すると、その記者の上司から告発を止めるように指示が来たとのことです。なぜかというと、警察が情報を流してくれないから。ではニューヨークタイムズではどうしているのかというと、この本ではなくて別の本に書いてあったと思いますが、検証記事を書いているみたいです(実際に読んだことはないですが)。警察の発表ではこうですけど、私の調べではこうだった、といった具合だそうです。なるほど、確かに新聞を読んでいると、警察の発表ではこうだ、と書かれているだけで、独自で調べていることはなかったと思う。ということはマスコミがするべき権力の監視をしていないという衝撃的な事実が突きつけられたということか。よくよく考えるとパソコン遠隔操作事件の時に、警察による自白の強制が発覚したが、あれだってマスコミが告発したわけではなくて、犯人が自慢しなければそのままだったわけで・・・。思い返すと、今までニュースを見ていて、たまに裁判で自白を撤回するということがあった。その時は往生際の悪いと思っていたが、今にして思えば自白を強制させられたんだと思う。つまりマスコミは権力の監視として何の役にも立ていなかったというわけだ。いろいろとショックだ。

 ただし、原発事故のルポである「プロメテウスの罠」に対しては高い評価をしています。そう言われるとちょっと興味が出てきたから、もしかしたら、紹介するかもしれません。