生き残った帝国ビザンティン
中級者向けの歴史本です。
ローマ帝国や東欧の歴史に興味がある人向けの本です。
一般的にローマ帝国は古代に滅びたとされています。しかし正確には東西に分裂しただけで、西側の消滅を持って滅亡としているだけです。東側はそのままなんと千年以上!にわたって生き残りました(千年続く国家なんて数えるほどしかありません)。東側は通称でビザンチン帝国と呼ばれています。そのビザンチン帝国の通史を、日本有数の専門家が書いた本です。
専門家が書いた本というのは、往々にして難しいものがあります。しかし、この本は読みやすい部類に入るでしょう。あまり厚くない文庫本に千年以上に上るビザンチン帝国の歴史を詰め込んでいるからかもしれません。一つ一つのエピソードの内容が薄く、しかし要点を絞り込んでおり、読みやすくなっています。また、文章も簡潔で平易な言葉で記しています。
単に歴史事実だけ書いているわけではなく、その背後で起きた社会変化・国が豊かになったことによる貴族階級の出現や、対外遠征の増加による軍隊忌避とそれによる軍事力の弱体化などを書いています。前述で述べたように、それらも要点を絞って説明しているので、わかりやすくなっている点が気に入っています。