世界史劇場 駆け抜けるナポレオン
初級者向けです。
さらりとナポレオンについて学びたい方向けです。
前回の「世界史劇場 フランス革命の激流」の直接の続編です。見てのとおり、ナポレオンを主人公としています。ナポレオンが将軍となり、第一統領となり、ついには皇帝となって転落していくさまを、わかりやすく説明しています。
無駄なところを省き、必要なところだけをコンパクトにまとめたナポレオン伝だと思います。主題が主題だけに戦略・戦術の話が多いかなという印象を持ちました。もちろん、そこもわかりやすく書いてあるので、良いと思います。
また、ナポレオンは思ったより優秀な人物ではないとも書かれています。確かに、最後には絶海の孤島に島流しされているわけですから、欠点も大きかったでしょう。というより、現代でも見られるそこらへんの独裁者と同じで、有能な人物を遠ざけ、阿諛追従の類を信頼するようになっていっています。優秀な将軍なだけに戦争をほとんど唯一の解決手段としていますが、勝利を活用して和平交渉が人材もおらず、自軍が消耗していることに危機感を持たず、結局破滅していきます。
だからといって無能ではなく、第一統領時代には有能な政治家として絶大な人気がありました。有能な人物でも、頂点にのぼり詰めると下降していくことはよくあることですが、彼もその一人だということです。
波乱万丈な生涯を読むことはそこらへんの小説よりよほど面白いのではないでしょうか。