ローマ帝国衰亡史 普及版と完訳版
ローマ帝国衰亡史〈1〉五賢帝時代とローマ帝国衰亡の兆し (ちくま学芸文庫)
- 作者: エドワードギボン
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1995/12
- メディア: 文庫
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初投稿とのことで記念すべき第一回目は、名著として名高い[ローマ帝国衰亡史]を選びました。
タイトルの通り、ローマ帝国が衰退していく様を記した歴史書です。
良いところ
・文書が良い
文書のスタイルが最近の本ではまず見られない「流れるような旋律」をもった文書であることです。冒頭の「西暦第二世紀、ローマ帝国の版図は世界のほぼ大半を領し、最も開花した人類世界をその治下に収めていた。そして、この広大な帝国の辺境は、古来その勇名と軍紀の厳しさともって鳴ったローマ軍の手で衛られ、柔軟にして、しかも強力な法と習俗の力とが、漸次諸属州の統合を固めていった。」といったようにスラスラ読めるタイプの書き方をしています。
そのおかげで、1776年に刊行されたにも関らず、現在でも名著と評判で、チャーチルやネルーなどの著名人も愛読したと知られています。
「普及版」
・文字が大きくて、フォントも普通なので読みやすいです。
・興味がでそうなところをピックアップして読みやすくしています。完訳版では、宗教に多くのページが割かれていますが、そう言ったところを丸々省いています。
「完訳版」
・普及版では省略されたところも訳されています。
悪いところ
・書かれた時代が古いこともあって、時代考証が古いところです。クラウディウス帝のように再評価されている皇帝でも、暗愚な君主と書かれています。
「普及版」
・省略箇所が多いことが不満です。宗教関係だけならともかく、西ローマ帝国の滅亡の部分が全て省かれています。この悲劇的なところは省かないで欲しかったと思います。
「完訳版」
・文字が小さくて、フォントが古いです。上級者向けで、いきなりこれを読むと挫折すると思います。
・宗教の記述が多くて、興味のない方は飛ばすと思います。
・7世紀のヘラクレイオス帝以後の東ローマ帝国の記述がほとんどありません。