フォレスタン目録-映画・本・漫画のおすすめ作品紹介ブログ-

映画・本・漫画などのおすすめ作品を紹介するブログです。原則としておすすめ品しか書きません。好みである歴史系に偏ると思います。

死人の声をきくがよい

 

死人の声をきくがよい 1 (チャンピオンREDコミックス)

死人の声をきくがよい 1 (チャンピオンREDコミックス)

 

 1話完結型のホラー漫画です。

 

 幽霊やオカルト、都市伝説からUMA、心霊現象などほぼすべての超常現象をテーマに扱っています。主人公の少年は岸田という少年で、ヒロイン?は幼馴染だった早川さん(表紙の人)という幽霊です。この岸田くんは様々な超常現象に巻き込まれて、危険な目にあいます。が、早川さんのおかげで逃げ切ることができるというものです。ほとんどこのパターンと言っていいでしょう。

 

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マムルーク朝と日本の会社員

 中世のイスラム世界にマムルークというのがいました。日本語に訳すと「軍人奴隷」です。軍人で奴隷というと、妙な感じがすると思います。しかし、紛れもなく「軍人」であり「奴隷」でもありました。

 その起源は9世紀に遡ります。アラブ人は7世紀に西アジアを征服しました。しかし、9世紀になるとすっかり平和と贅沢に慣れて弱体化しました。その代わりになったのは、中央アジアに住むトルコ人です。幼い頃から馬に乗って、弓矢で狩りをする生活をしていたので、十分に軍人になる素質がありました。

 そのトルコ人を奴隷商人から購入して、軍人として鍛えました。それが中世イスラムの軍隊の中核となったのです。いつの時代も武力を持っているものが立場も強い。とうとう自分たちの国を建国しました。それがマムルーク朝です。

 本題に入りますが、そのマムルーク朝、日本の会社員になんとなく似ているような気がしました。マムルーク朝は奴隷商人から子供を購入して、一から教育します。日本の会社員は、経験のない新卒を採用して、一から教育します。マムルーク朝世襲ではなく、有能なマムルークに出世させて後を継がせます。日本の会社員も世襲ではなく、有能な部下を出世させて後を継がせます。マムルークは奴隷です。日本の会社員も奴隷のように働かされます(特にサービス残業)。ということは、日本の会社員は奴隷!!

 なんで日本の会社員の立場が弱いか考えてみた。日本だと一流企業ほど新卒を一括で雇い、教育していく。そこに入れなかったり、落ちこぼれた者が転職していく。つまり転職すればするほど待遇が悪くなっていく。よって逃げ場がない分、立場が悪い。といったところか。待遇よりも仕事のやりがいを云々されるという点も原因の一つだと思う。私は待遇さえ良ければいいのだけど。

 ヨーロッパだと有能そうなら雇って、育てるという発想がないみたい。有能なら雇って、無能ならクビにする。会社員も待遇が良ければ就職して、悪くなれば転職する。人材が流動的なのが、逃げ場があるという意味で、立場が強くなれるのだろう。

 

foresttan.hatenablog.com

 

ドイツ育ちの“ハーフ”は知っている! 日本人、ここがステキで、ここがちょっとヘン。

 

 日系ドイツ人が描いた、日本とドイツを比較した漫画です。

 

海外の生活事情に興味のある人向けです。

 

 著者はドイツと日本で働いていた経験があるみたいなので、それを踏まえて描かれています。政治的なことはなく、日常生活や労働条件、就職活動、学校制度などがテーマです。タイトルの通り、日本の良い面も描いていますが、悪い面も描いています。

 

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「朝日」ともあろうものが。

 

「朝日」ともあろうものが。 (河出文庫)

「朝日」ともあろうものが。 (河出文庫)

 

 初心者〜中級者向けの暴露本です。

 

組織の腐敗と内実と知りたい人にオススメです。

 

第1章 僕はなぜこの仕事を選んだのか

第2章 みじめでまぬけな新米記者

第3章 パワハラ支局長

第4章 不偏不党なんてとっくに死んでいる

第5章 記者クラブには不思議がいっぱい

第6章 夕刊は不要どころか有害

第7章 朝日の人材開発は不毛の荒野だった

第8章 ぼくが初めてハイヤーに乗った日

第9章 捏造記事はこんなふうに作られる

第10章 上祐へのインタビュー原稿がオウムに渡っていた

第11章 「前例のない」の一言でボツ

第12章 かつて愛した恋人、アエラ

第13章 さようなら。お世話になりました。

 

 17年間、朝日新聞で記者をしていた人が書いた暴露本です。朝日新聞というと、左翼思想に沿った偏向報道などと批判されることが多いです。しかし、この本では思想的なことについてはほとんど触れていません。そのごくわずかに触れていることでも、下っ端の平社員のだからわからないと書いているだけで、むしろ左翼などという批判には懐疑的です。

 では何を暴露しているのかというと、朝日新聞の内部に広がる腐敗や読者の都合を無視した組織第一主義です。夕刊を廃止すれば、1日ごとに区切りよくニュースを報道できて、読者にわかりやすい。それがなぜできないかというと、広告費が減少するから。また、良い記事を書くためでなく、今までの慣例やご褒美で人事が決まる。外国に赴任する記者で、英語を話せないのは普通なのだそうだ。なぜ記事が書けるかというと、現地のバイリンガルのアシスタントがつくからで、インタビューから執筆まで何もかもしてくれるという。その手柄を横取りして新聞に載る。他にも、人事の基本は成果が平等になるようにするという。なぜそうなったかは書いていなかったと思う。だが、誰かが抜きん出た手柄を立てないようにすることが仕事だと思っている管理職がほとんどだという。つまりその分出来の低い記事が読者に送られる。書いていたらきりがないけど、まあ一事が万事この調子だ。他にも交通費の横領や、役所からの贈り物(文房具から飛行機旅行まで)が当たり前だとか。

 

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ジャーナリズム崩壊

 

ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書)

ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書)

 

初級者向けの告発本です。

 

報道について興味のある人向けです。

 

第1章 日本にジャーナリズムは存在するか?

  第1節 空想でしかない「客観報道」

  第2節 メモ合わせ

  第3節 自由な言論を許さないメディア

  第4節 編集と経営

  第5節 しばり、癒着

第2章 お笑い記者クラブ

  第1節 笑われる日本人記者

  第2節 メディア界のアパルトヘイト

第3章 ジャーナリストの誇りと責任

  第1節 署名記事

  第2節 実名報道

  第3節 均一化されたエリート記者たち

第4章 記者クラブとは何か

  第1節 記者クラブの誕生

  第2節 日米メディアをめぐる誤解

  第3節 英訳・記者クラブ

  第4節 都庁記者クラブの場合

第5章 健全なジャーナリズムとは

  第1節 アフガニスタン・ルール

  第2節 過ちを認めない新聞

  第3節 日本新聞協会の見解

 

 日本のマスコミをニューヨークタイムズと比較して批判した本です。 著者はニューヨークタイムズで記者をしていた経験があり、アメリカのジャーナリズムと日本のジャーナリズムとの違いがいろいろとわかるようです。日本では他の人と同じ記事を書くことで高い評価を得るが、アメリカでは独自の記事を書かないと盗用の疑いを持たれる。日本の報道では引用元をはっきりさせず『一部週刊誌』などとぼかすことがほとんどだが、アメリカの報道では引用を隠すとそれこそ盗用となる。日本の新聞では署名は基本的にないが、アメリカの新聞では責任逃れとみなされるので、どんなベタ記事でも署名する。日本のマスコミは誤報を出さないようにすることと、誤報を出しても隠蔽する。しかし、アメリカのマスコミでは誤報が出るのは仕方ないが、必ず訂正と検証の記事を載せる。日本の新聞社では未経験の新卒が入社して記者となり、記者出身者が会社の幹部になり、経営者が編集の方針に口出しする。アメリカの新聞社では特定の業界の経験者の中途採用が一般的で、記者の出世は編集局長まで、しかし経営者が編集に口を出せない。などなど、様々な違いがあります。むしろしていることは似て非なることと言ってもいいぐらい正反対です。

 

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「本当のこと」を伝えない日本の新聞

 

「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)

「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)

 

初級者向けの告発本です。

 

報道の自由について興味のある人向けです。

 

第1章 青い目の3・11取材記

第2章 情報寡占組織・記者クラブ

第3章 かくもおかしい新聞

第4章 ジャーナリストがいない国

第5章 日本の新聞 生き残りの道

 

 日本に留学経験のあるニューヨークタイムズ東京支局長が書いた本です。タイトルの通り、日本のマスメディアを批判しています。描かれた時期は少し古く、東日本大震災の数ヶ月後の出来事を主なテーマにしています。

 書かれていることは、アメリカと日本のジャーナリズムの違い、というより日本のマスメディアがジャーナリストとしての機能を果たしていない、と批判しています。欧米のジャーナリズムは、政府や企業が不祥事を隠蔽していないかをチェックして記事にしています。日本のマスメディアの場合は、政府(政治家や警察官僚)や企業(経営者)と仲良くなって、情報を頂いて記事にしているとのことです。また、アメリカでは記事にしなければ知らないままだったという情報を特ダネと呼びますが、日本ではいずれ公開される情報でも、ほんの1日でも早く出した情報を特ダネ扱いされていることも批判しています。

 特に「記者クラブ」について批判しています。「記者クラブ」とは大手新聞とテレビ局が合同で組織しているマスメディア団体です。首相官邸や官庁から地方の役場に至るまで記者クラブが存在しています。大手マスコミに所属している記者たちは、会社から記者クラブへ出向して拠点を構えています。政府の会見や発表などはすべて記者クラブを通して行われ、そうして得た情報を本社に送ることで記事やニュースになります。もともとは明治時代に、情報を隠蔽しようとする当時の帝国政府に対して、記者たちが一致団結して情報公開を求めた組織が起源です。しかし現在では、大手マスコミ以外のマスコミ、雑誌やフリージャーナリスト・外国のマスコミを記者クラブに加入させないようにしており、そのため会見ではそれらのジャーナリストが質疑応答できないと批判しています。

 3・11以外にも、小沢一朗の「政治とカネ」、オリンパス事件を短いながらも扱っています。

 

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コンビニ人間

 

コンビニ人間

コンビニ人間

 

 初級者向けの小説です。

 

芥川賞をとった本です。派手な活躍劇もない日常生活?をテーマにした小説です。

 

 コンビニの店員である古倉さんが主人公です。古倉さんは学生の時にコンビニのアルバイトを始めて18年、就職も結婚もせずに30代後半になっています。コンビニが生活の中心になっており、コンビニに勤務するために早寝をし、夢はコンビニのレジ打ちという有様です。家族や友人から就職か結婚をするように忠告されても気にしなかったのですが、同じ年頃の男性が新人として入ってくることで変わり始めます。

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